ここで少しまとめてみます。

調査の行われた昭和62年(1987)はまさしく「バブルの時代」真っただ中でありました。
今から26年前の時代であります。

興津海水浴場も守谷海水浴場も昭和30年代から続く好調の時代で、時期になると多くの海の家がしのぎを削っていました。

興津商店街も20代から50代のまさしく働き盛りの店主がほとんどで、絶好調の時代が続いていました。
一方で、外房へ向う道路も整備され、車での日帰り客が増えてきました。
そのために一時は160軒を超える民宿があったこの興津が、衰退していくのにそんなに時間はかかりませんでした。
平成25年現在で民宿は数軒しか存在していません。商店の減少率を大きく上回る数字であります。

ホテルや旅館に関しても、清海楼・興津館・あたらしや旅館。浜屋旅館。竹屋旅館。はすでになく。
現在唯一の室山旅館は興武館を利用する学生の合宿が主のように感じています。

平成2年の5月に、塩谷酒店がヤマザキディリーストアーに、御門がミニスーパー形式のお店に建て替えました。
当時はスーパーと言えば、鴨川のサンワストアーとおどや。勝浦ではサカモトだけで、地域の小売店もまだ可能性を持っていた時でありました。

この商店街診断からも十分その可能性が感じられます。
この時代がずっと続いて行くように感じていました。

その後、興津バイパスの開通や、そのバイパスにできたセブンイレブンや、鴨川ジャスコの開店。平成11年にオープンしたタカヨシとハヤシ。大多喜のオリブ。鴨川のカインズ、ベイシア等周辺への大型出店の進出。生協の進出。等で興津の商店を取り巻く環境は厳しくなったといえます。
店主の高齢化も進み、後継者もなく今後10年で一層の閉店が予想されます。

昭和63年に一部補助金で51基の街路灯が建てられましたが、会員の減少が著しく運営が困難になって来ています。
平成25年の今年、千葉県と勝浦市の補助をそれぞれ3分の1(70万円程度)ずつ受けて、LEDの電球に交換していく予定であります






来街者調査より

 この来街者50名の居住地のうち、興津38.3%、上野17.0%、鵜原・守谷で12.7%、浜行川・大沢で12.7%の構成割合となっており、全体の80%以上に当たり、その上に天津小湊から6.3%という来街もあり、その対応にも努力したい。

《来街者調査からの要望項目》

@店が少なく、大・中型店もないので、おみせの数を増やし共同の大型店舗をつくること。

A駐車場がなく、道路も狭く歩行が危険であり、駐車場・歩道を設けること。また、公衆便所や公衆電話を設置すること。

B催し物や売りだしが少なく、休業日や営業時間がバラバラであり、商店会の共同統一した買物客サービスをすること。また、値段を安くすること。

お買物調査より

 当商店街の商圏と考えられる興津・上野両地区での地元購買率は、食料品を中心とした最寄商品で約33%、買回商品では約10%であり非常に低い。

《お買物調査からの要望項目》

@値段を安く、商品数量を増加し、品質鮮度を向上させたお店づくりに努力すること。

A大型店の誘致など、街区内に店の数と種類を増やすこと。
 ・最寄品の総合スーパー店
 ・生花園芸店  ・ギフト用品店
 ・インテリア店  ・家具店など

B街区内に駐車場か停車場所をつくり、車でも買物のできる商店街づくりをすること。

C店内がうす暗く、商品にホコリをかぶり、買いづらいところがあり、清潔で明るいお店をつくること。

D商店街全体に活気が乏しく、漁業の町でもあり鮮魚店を充実させるなどをして、活気のある楽しい明るい街区をつくること。

 興津商業づくりの問題点と観光商業地の課題

《興津商業づくりの問題・課題》

@興津駅前を中心とした商業整備の方向が不明確であり、観光を含めてその対応が急がれる。

A自然発生的に形成された商店街であり、急激な周辺環境の変化に対応できず街区構造や業種構成にアンバランスが見られており、興津地区の中心街としての整備も必要である。

B当駅前にリゾートマンション、山沿いに国道128号線バイパス道路が建設中であり、地元買物客の流出入が予想されるので、近代経営と新たな地元密着の個店づくりが急がれる。

 
平成25年 
23の畔田さんはリブサニーサイド(デイサービス)に、35の房州屋さんはタカヨシ(小売店)になりました。
地図上の41はちょうちんやさん(37吉野青果)の隣に印があります。現在の関川区長さんのお宅の辺りですが、62年当時青果店がありましたっけ?教えて下さい
現在マンションの1Fには美容院「Y」がありますが2Fの喫茶店は閉店しています。
62年当時の表には魚希鮮魚店が抜けていますが、現在は閉店しています。
岡田燃料店も抜けていますが岡田さんは現在も商店として存在しています。
当時は長田さんや栗原食料品店や新屋敷にはハッサ(佐久間商店)もあったと思われますが、この表からは抜けています。どちらも現在は商売を行っておりません。
豆腐屋さんも高梨さん1店が記載されておりますが、栗生さんと宮崎さんも製造販売を行っていたと思います。現在興津で豆腐の製造販売店はありません。

27年間で40店以上の6割のお店が閉店しています。

昭和62年当時の興津商店街の業種構成   
赤文字は商店として平成25年に存在している店 
昭和62年 興津商店街のお店

 店舗数は68店で小売店44店(最寄品店23店、買回品店17店、製造小売店4店)、飲食店10店とサービス業10店、休業4店が開設されている。
 
 なお、駅前には今夏にオープンした分譲リゾートマンション(約120戸・2Fに喫茶店)があり、今年度中に改築される観光案内所と興津公民館もある。
 
 このマンションの所有者は夏場の入居利用が中心で、年間の週末利用については1〜2割のようである。

 また街区内の諸施設については銀行1店、郵便局、歯科医院、寺が多少の集客建物、信号2ヶ所、駐車場5ヶ所(個人所有)がある。古ぼけた街路灯があるものの、近日中に改修されるということである。(街灯数・44基)
 
 商店街の共同事業は、年末の売出しが1回ある程度である。







   業 種 名       業 種 名        業 種 名     
 1  釣具、レジャー用品店 いわせ    24   菓子パン店  岡村   47   精肉店  由基屋  
 2  時計、貴金属店  椎名   25   クリーニング店  朝本   48   レストラン  由基屋  
 3  豆腐製造販売  高梨   26   鮮魚専門店  大徳   49   時計、貴金属店  末吉  
 4  タバコ、菓子店  たびや   27   手芸品店  みつぎ   50   寿司屋  鶴寿司  
 5  美容  タエコ   28   精肉専門店  こだま   51   青果、惣菜店  岩堀  
 6  新聞販売店  産経   29   菓子店  森田屋   52   そば屋  梅もと  
 7  製氷販売店  田辺   30   履物店  吉見屋   53   甘味喫茶店  いわせ  
 8  鮮魚店  柳信   31   セトモノ、雑貨店  伊勢屋   54   パン、食料品店  黒川  
 9  みやげ専門店  田辺   32   寝具店  松野屋   55   印刷屋  平野  
10  薬、化粧品店  原   33   青果店  和佐間   56   テーラー  岩瀬  
11  青果、食品店 加間   34   酒販店  大黒屋   57   喫茶店  ストーク  
12   中華レストラン  松葉屋   35   衣料品店  房州屋   58   理容店  抱井  
13   書籍、文具店  さかんや   36   釣具店  京橋   59   喫茶、和菓子店  岩瀬  
14   呉服、洋品店  上総屋   37   青果店  吉野   60   みやげ専門店  村田  
15   履物店  三次郎   38   理容店  斎藤   61   中華レストラン  村田食堂  
16   酒販店  塩谷   39   総合食料品店  中嶋   62   喫茶、レストラン  マンション2F  
17  食料雑貨店  御門   40   菓子、食料品店  三正堂   63   菓子雑貨店(キヨスク)    
18  DPE取次店  塩谷   41   青果店     64   家庭電器店  かわむら  
19   精肉店  渡辺   42   中華レストラン  吉野   65   美容室  ミキ  
20   建材、工具店  鎌田   43   タバコ店  仙台屋   66   寿司屋  おしだり  
21   オモチャ店  山田   44   酒販店  菅佐原   67   精肉店  鈴木  
22   酒販店  吉野   45   石材店  岩堀   68   喫茶、レストラン  ビーグル  
23   酒、食料品店  畔田   46   美容店  三上          


























商業規模と商店街の環境

 勝浦市の商業店舗の約20%が興津地区に属している。

 《興津地区の商業規模・60年現在》 
    飲食店は61年現在
    「商業規模試算表」からの試算

 小売店  商店数      95店
       従業者数     242人
       年間販売額 300,851万円

 飲食店  商店数      20店
       従業者数     62人
       年間販売額  29,392万円

 興津の小売店と飲食店は概ね下記の規模である。

 小売店  商店数      63店
      年間販売額 216,028万円

 飲食店  商店数      11店
      年間販売額  19,703万円

人口数とJR上総興津駅

 
興津地区の人口は、5,377人で勝浦市人口の20.6%を占めている。当地区の小区分毎の人口は次のとおりとなっている(62年3月)
     興津2,229人 守谷714人 鵜原1,198人
     吉尾 326人 大沢297人 浜行川613人

 当商店街の商業拡大を考えた場合に、興津地区北隣りにある上野地区・人口3,085人を商圏に加えることも必要である。すなわち、当商店街の来街範囲内の人口は最大でも8,500人と考えたい。

 興津駅の鉄道乗降客数は61年6月から62年5月までの一日平均が約600人となっている。
その乗降客数も6〜10月の対前年同期比(62年対61年)が、7%の減少となり、観光入込客数の減少傾向と同じである。
診断実施期間 千葉県中小企業総合指導所
診断協力期間 勝浦市 勝浦市商工会
目的 : 千葉県・夷隅郡市の中核都市、勝浦は人口約26,000人で漁農業と観光業を基盤とした都市である。    
      昭和33年の市制施行にともない合併された「興津地区」は、当市の南部海岸線に位置する海水浴地と観光地を有する。 
      当地区の中心街である興津商店街は、JR上総興津駅前と国道128号線沿いに自然発生的に形成されたものであり、
      近代的商店街の整備が立ち遅れ、駅前にリゾートマンション建設や山沿いに128号線バイパス道路が完成間近となっている。
      そこで、当市の観光商業ビジョンと統合資料などを収集して、地元消費者と商業経営者の意識を調査・分析することにより、
      地区事情に合った商店街づくりを提案することを目的とする。  

 興津商店街診断 昭和62年5月〜11月